アニメのスタッフクレジットを読む(エンディング編)

無いと思っていた、以前に書いてあった名前入りのクレジットが出てきました。
探すのをやめたときに見つかることはよくある話です。
以下「涼宮ハルヒの憂鬱III」から。

じゃあ、さっそく

キャスト

声優さんです。
「声の出演」になっている場合もあります。
あまりクレジットに興味ない人も、ここだけは見ているという人は多いのではないでしょうか。
ダメ絶対音感持っている人にとってはここを見て一喜一憂します。(当たったり外れたり)


たいてい、EDクレジットの最初のほうに出てきますが、アニメ制作の工程でいうと最後の方。
視聴者が注目するところなので最初なのでしょうが、本来であれば終わりの方があっているのでしょうね。
ザ・サード武装練金とかXEBEC作品のクレジットはそうなってます。
XEBECのクレジットの入れ方にはこだわりを感じます。

脚本

シリーズ構成が作品全体のストーリーなら、脚本は1話分のストーリー。
1話分といっても脚本家はあまり30分間という時間制限を考えて脚本を書いているわけではないようです。(作品によって違うかもしれませんが)
かみちゅ!とかHELLSINGのコメンタリーを聞いてなんとなくわかったことです。
シリーズ構成が全話の脚本を書く場合と、各話の脚本を別の脚本家に依頼するパターンでもまた違ってきそうですが。


キャラクターがうまいセリフを言ったり、斬新な展開に圧倒されたときは脚本がよかったといっていいのではないでしょうか。
作画がおかしくても脚本がよい時もあるので、きちんと見極められるようになりたいです。

絵コンテ

脚本を30分におさめる役割です。
シーンやカットを構成したり、おおまかなレイアウトを決めたり。
脚本を映像化するときの設計図みたいなもの?うーん、うまい言葉が思いつかない。


うまい絵コンテというのはなかなか見極めるのが難しいですが、福田道生さんの絵コンテを例にとってみたいと思います。
福田さんの絵コンテはすごい。特によみ空ソルティレイあたりの。
ネギまとか最近のはイマイチです。おとといののだめも福田さんだったけど、よみ空のときみたいな驚きはなかったです。
福田さんの絵コンテはそれぞれのシーンで深く引き込まれます。シーンが濃厚。
見ていると時間の感覚がおかしくなります。同じ30分でもこんなに違うのかと。
そろそろ終わるかなと思ったらまだシーン残っていたという感覚を何度も味わわされました。

演出(演出補佐)

実写ドラマであれば役者さんがそれぞれ演技をしますが、アニメは絵が演技をします。
コミカルな動きとか印象的なしぐさみたいな演技はアニメの演出家さんの仕事です。


演出は絵コンテを兼ねることが多いです。
各話で演出を担当される方は監督の経験がある方も多く、その方の作風が現れることも多いです。
また、演出を担当されている人は近い将来に監督をやる可能性も高いです。
この演出家さん、そろそろ監督やらないかなとか予想しながら見るのも楽しいです。

作画監督作画監督補佐)

実力のある原画スタッフが担当することが多いです。
最近は総作画監督を立てることが増えたため、作画監督の特徴が出にくくなっています。
作画監督からさらに実力のある人はキャラクターデザインを担当することになります。
他の作品でキャラデザを経験している人が作画監督を担当することもあり、そういう放送回は特に気になります。


作画監督の仕事は原画のチェックになりますが、もうひとつ重要なのはレイアウト。
クレジットに出てこないけど、超重要な仕事です。

原画

キャラクターとか動きのある画を描くスタッフ。
原画スタッフは、チームで描いていることが多いので、そういう視点で見てみるとおもしろいです。


原画といえば、以前は中嶋敦子さんとか後藤圭二さんとか個性的な画を描く人をウォッチしつつ、画を見てスタッフを当てて楽しむというようなことがあったのですが、最近は竹内哲也さんみたいな原画スタッフの裁量での演出(キャラクターの動きなど)を見てスタッフを当てるという楽しみ方も増えています。
以前からもあったらしいけど、そういう実力のあるスタッフさんは劇場作品とかに参加することが多いので、私にはよくわかりません。(アニメは自宅のテレビで見るポリシー)
一度劇場アニメを手がけた人はなかなかTVアニメを描かないので困ったものです。

動画検査

動画をチェックします。
動きが変じゃないかとか、描き忘れがないかとかのチェック。
京アニといえば動きへのこだわりとかフルアニメーションとかありますが、これらは動画検査によって支えられているのではないかと。
京アニみたいなところは動画検査スタッフにも注目してみるといいかもしれません。(中野恵美さんとか中峰ちとせさんとか)

動画

ちょっとペースをあげます。


原画だけでは枚数が足りないので、間の画を描くスタッフさんです。
この時点ではまだ色は付いていません。線画です。


恥ずかしい話ですが、私はけっこう最近まで動画で色を塗っていると思っていました。

特殊効果

仕上げを終えて色の付いた画に処理をします。
Photoshopとか使うそうです。瞳にぼかしを入れたり、フィルタかけたりするようです。

色指定検査

色がちゃんと指示どおりに塗られているかを検査。
色彩設定を元にして。

仕上げ

色を塗ります。
昔はセルに動画をトレスして絵の具で色を付けていたそうですが、最近はコンピュータにスキャンしてパソコンで色を塗っています。


ちなみに「セル画」の「セル」は「セルロイド」だといわれていますが、セルロイドは燃えやすいということで次第に使われなくなり、代わりに「アセチルセルロース」が使われるようになったそうです。


デジタルになっても、あいかわらず「セル画」と呼んでいるようです。
「セル画」は原画→動画→仕上げを経て、動きのある画が描き込まれています。

美術設定

背景に使う美術の設定。
物語の舞台にどういう建物があるのかとか、部屋の中にどんなものが置いてあるのかとかいう設定をする人のことかと。
ごめんなさい。よくわからないです。

美監補佐

OPにクレジットされている美術監督の補佐。

背景

背景などの静物の画を描くスタッフ。
kanonの6話で、きっちり秒を刻む時計が出てきたけど、普通考えれば背景なんだろうけどあれはどっちが用意したんだろう。

撮影

仕上げが終わったセルと背景とCGを合成して1コマにします。
これも昔は画を重ね合わせて本当にフィルムに撮影していたそうですが、今はコンピュータでやるそうです。

エフェクト

フレアとかデフュージョン(拡散)とかの効果をかけること。
「特殊効果」はセル画にかけるけど、エフェクトは撮影素材にかけるってこと。(でいいのかなぁ)
京アニは逆光フレアとか回想シーンのデフュージョンとか頻繁に出てきます。
むしろエフェクトがかかっていない方が少ないんじゃないかと。


京アニデジタル室がクレジットされていますが、デジタル室はエフェクト以外にも噴水とか雪が降るシーンとかのCGも手がけています。

音響効果

効果音を用意する人。

録音(録音助手)

効果音と声優さんのセリフとBMGをミックスする人。
タイミング調整なども。

音響制作担当

音響制作スタジオの担当者さん。
楽音舎の場合はたいてい杉山好美さんがクレジットされています。

録音スタジオ

最近「タバック」ってあまり見かけなくなりました。

音響制作

音響制作スタジオ。
楽音舎とか神南スタジオとかオーディオプランニングユー(APU)とか。

企画協力

スペシャルサンクスみたいな感じ。
けっこう奥が深いです。
ちなみにスタジオオルフェ作品では、ほぼ必ず長井仁さんがここにクレジットされています。

エンディングテーマ

エンディングのテーマ曲。

オープニングアニメーションクレジット

OPアニメのクレジット。
実力派ぞろいです。

エンディングアニメーションクレジット

EDはOPほど動きは少ないのでスタッフも少なめな傾向が強いのですが各作品でそれぞれ趣向を凝らしていて、アイデア勝負でおもしろいです。

作品担当

これはよくわかりません。
テレビ局の人とかクレジットされたり?

プロモーション

宣伝担当の人。

ロゴデザイン

ロゴのデザイン。
個人的には神宮司訓之さんが・・

オンライン編集

このへんから私の知識はかなりあやしくなってきます。
OP編のときに「くん」さんの説明が詳しいので引用でご紹介。(適宜改行してます)

番組によってはオフライン、オンライン編集と書いてあったり、フォーマット編集などと言う表記がありますが、編集の基本的(現実的)な流れとしては以下のようになっています。
まず、出来上がった素材と出来てない仮の素材(色なし)を、とりあえず順番に並べ、その作業をしながらリアルタイムで持ち込まれて来るカットを、差し替えるのがまず第一です。この作業は差し替えや尺の調整が容易なPCベースのノンリニア編集機(Avid、eQなど)を用いることが多く、別名でオフライン編集とも呼びます。
この段階では前半、後半を一本のテープにまとめることはあったり無かったりします。また差し替えが終わってないこともよくありますが、とりあえず形になったらフォーマット編集と呼ばれる作業に移ります。フォーマット編集はその名の通り放送局が指定したフォーマットに揃える作業で、局に近い外部の編集スタジオが使われる傾向が多いです。実際の作業は、適切な基準信号を入れる、本編にノイズが無いチェックする、CM間の黒味を入れる、テロップを入れる、また見てねを入れる、ぎりぎりで届いた差し替えカットを入れる、制作スタッフが寝る、といったことが行われています。
最後の砦の部分なので常に修羅場で、状況の厳しいアニメほど、この段階でも差し替え作業が増えます。無理やり絵をとめたり、スローモーションで尺を伸ばしたりすることも多いです。取り込みなどの時間のロスを減らすため、リアルタイムで編集できるリニア編集室を使うことが多く、オンライン編集とも呼びます。最近では大量の差し替えが前提で持ち込まれる作品が多く、操作性や安定性の向上もあって、全てノンリニア編集機で作業することもあります。音は前もっていつ入れるのか知りませんが。

たいへんなお仕事ですね。
IMAGICAがクレジットされているというところからも、放送のフォーマットに尺を調整しているところという感じでしょうか。

エディター

編集の実務担当者?

オンライン編集担当

IMAGICAの担当者?

設定マネージャー

よくわかりません。
設定担当のマネージャー?管理者?

制作マネージャー

制作進行のことでしょうか。

制作協力

ハルヒではこのクレジットは出てこなかったけど、ご紹介程度に。
制作協力にはアニメスタジオが入ります。
基本的にはアニメーション制作にクレジットされているスタジオがアニメを作るのですが、1話分を丸ごと他のスタジオに作ってもらうことがあります。
その場合は絵コンテ・演出からすべての作業を請けてもらいます。
このグロス請けパターンもクレジットを読むうえでけっこう重要。


ハルヒでは出てこないけど、実際はアニメーションDoに制作協力と取れるような発注を出していたようです。
というか、どうもハルヒ以降は京アニとアニDoの境界線がなくなってきているようです。

アニメーション制作

アニメーションを実際に作っているところ。

製作協力

広告代理店ですね。

製作

制作委員会。著作権とかパテントを管理しているところ。


「制作」と「製作」の関係は「製作」がお金を出して「制作」に作ってもらいます。
「制作」が作った作品はお金を出した「製作」のものになります。
なんか理不尽に聞こえますが、そういう契約ですから。
最近は制作会社が製作委員会に参加している場合が増えているみたいです。
製作委員会に参加していれば、利益も再配分されますから。

総括

とりあえず書いてみましたけど、ちっとも自信ありません。
厳しい突っ込みにガクブルしながらとりあえず今日は頭から布団かぶって寝ます・・


突っ込みに関してひとつだけお願いが。
「レベルが低い」とか「そんな決まり切ったこと言うな」というのはナシの方向で。
中学生が小学生の問題を解いて「こんなの簡単だ」と言っている場面を想像してもらえばよろしいかと。
中学生は中学生の問題をやるべきだし、小学生の問題には中学生らしいアプローチをした方がスマートです。(あまり心配していませんけど)


OP編から2か月経ってしまいました。
これでようやく新年を迎えられたような気分ですよ。


<参考文献>
アニメーション製作の手引き〜作画編仕上げ・撮影編〜(京都アニメーション刊)
アニメーション制作進行 くろみちゃん [DVD]
SpecialThanks
オープニング編他でコメントをいただいたみなさま。