HELLSING OVA 第1巻

買ってきましたよ。(ポイント使ったんだけど)
ところともかず監督と脚本の黒田洋介さんのコメンタリーが付いているので、いつものようにひととおり見てからコメンタリーバージョンを見ました。
50分の作品なので、2時間かかっちゃいましたよ。


コメンタリーは後回しにして置いて、本編から。
単行本の1巻が、まるまる50分に詰まってます。
かなり忠実に再現。絵コンテも単行本からそのまんま起こした感じ。
このへんは変にこぢんまりと収まっちゃったかなというのが正直な感想。
アニメなんだからアニメにしかできない演出があるんだし、そのへんはもっと挑戦して欲しいな。


けっこう作画にばらつきも見られます。
発売日が延びたのもわかるような気がしました。
ラストのアンデルセン戦編ではかなり凝ってますけど。


やっぱりサテライトということで、銃の演出とかアンデルセン戦の演出はどこぞのヒートガイな感じがしました。
CGがサテライトな感じ。


アンデルセン若本規夫さんはサイコーだな。
アーカードインテグラやウォルターもあいかわらずいいな。
声優さんはハズレがない。
中田譲治さんってTV版のヘルシングで一気に火がついた感じがあるけど。
ケロロ軍曹ギロロ伍長をやったりしたのは、楽音舎鶴岡陽太さん)つながりだったりするのかな。


あと、婦警の絶対領域がいい。
それとメガネ。メガネっ子率高すぎ。
メガネの描き込みがすごいなぁ。
インテグラが幼少のころつけていたメガネと大人メガネが違ってて、大人メガネはアーカードアンデルセンのが同じ。
メガネのネジの頭がマイナスネジなのはイギリスだからかと思ったのですが、バチカンアンデルセンも同じだったので、深読みしすぎだったようです。
メガネの設定とかも神宮司さんなのかな。
ヘリとか銃器は神宮司さんがやってそうだけど。


コメンタリーパート。
ところ監督と黒田さんとジェネオンの上田P。
テンションが低いのがところ監督で、テンション高くてよく喋るのが黒田さん。
オルフェの脚本家はよく喋るというポリシーに従って黒田さんがしゃべりまくり。
でも、倉田さんのコメンタリーと違い、言っていることは意外とまとも。
原作の平野耕太先生もコメンタリーに加わって欲しかったというのは、聞いている側も思いましたよ。


2巻では2巻の脚本を書く倉田英之さんと平野さんのコメンタリーが予定されているということなので、ますます目が離せません。
倉田さんと平野さんはタイプが似ているのだそうで。あのへんの話は最高におもしろかったです。
2巻は夏までに出ればいいですね。


コメンタリーの収録は年の瀬だったようです。
締め切りやらコミケやらで平野さんのスケジュールが合わなかったということのようです。


今回の発売日が延期したのは、ブックレットにも書いてあるけど絵コンテのやりなおしと作画修正を入れまくったのが原因のようです。
サテライトも大変なんだろうな。
CG以外のところが手薄なのは目に見えてわかりますよ。
作画は海外を多く使っていたみたいだし。
10月の段階でサテライトの名前が無かったあたりからして、大変だったんだろうな。
サテライトの新着情報ヘルシングの情報が無いというのも奥が深い。
別の作品のほうに力を入れているんでしょうね。ビッグネームな監督なので手厚いのでしょう。
ヘルシングのほうは持ち込みスタッフでどうにかなるのかもという予想があったのでしょうか。


まぁ、あっちのは3月で終わるだろうから、2巻は間に合わないかもしれないけど3巻以降ですごい名前がクレジットされていたりするかもなぁ。


黒田さんがコメンタリーで言っていたことで、興味深いと思った話が2つありました。
ひとつは脚本の極意。
脚本を書くときに、セリフを5・7・5にするといいのだそうです。
音韻が奇数だと、しゃべりやすいのだそうで、おそらく聞いている側もリズムがいいのでしょう。
でも、これって理屈は簡単だけど、やるのではえらい大変でしょう。
試しに、今日のニッキの音韻が奇数になるように書いて見ろといわれたら、3日はかかると思う。
でも、これはおもしろいので今後ニッキを書くとき心がけてみよう。


もうひとつは、脚本の量。
アニメの制作では、脚本→絵コンテ→原画→動画→編集という手順でやるけど。
今回の作品は50分。
あがってきた脚本を50分に収めるという作業は絵コンテの人がやります。
ここでずっとわからなかったのは、脚本家が脚本を書くときに50分を意識してやるのかどうかというところです。
まったく意識しないというわけではないようですが、どうやら答えは「そんなに意識はしていない」ということのようです。
黒田さんが「脚本をいっぱい書いてきたので、この脚本を映像化するとだいたい何分になるのかがわかる」みたいなことを言っていましたがそれが答えなのでしょう。
脚本をいっぱい書くようになればわかってくるってことなのでしょうね。


R.O.DのTV版で「紙々の黄昏」が前後編になったのは脚本が30分に収まらなかったので2本にしたというのを思い出しました。
かみちゅ!のようにオムニバスなのは違うのでしょうけど。
ということは、脚本家はあまり気にせずざーっと脚本を書いて、監督や絵コンテで30分に切っていくというのが正解なんですかね。
絵コンテを「切る」と表現するのが妙に納得。


他にもコメンタリーではいろいろと興味深いことを言っていましたが、さすがに全部は書ききれません。
もう一回聞けば、また違った発見があるんだろうな。


総論。
作った人たちもそうでしょうが、私は今回のクオリティには納得はしていません。
70点ってところですかね。
状況からすればよくがんばったと思いますけど、それはいいわけになっちゃいます。
絵コンテも原作を忠実にトレスするのじゃなく、コミックじゃできないもっと壮大なことをやってほしい。
CGの部分は世界に通用するサテライトのクオリティが最大限に出ているので、もったいないですよ。


ヘルシングって注目を浴びる作品なのでいろいろつらいとは思いますが、スタッフのみなさんには本当にがんばってほしいな。
いざとなったら発売日なんていくらでも延ばしてもいいから妥協せずに作ってください。