U局で放送する理由

昨日はU局で放送する理由がわからないとか書きましたが、ひとつの仮説を立ててみました。


アニメといっても、結局は商売。
製作サイドとしてはアニメを作ったら売ってお金を儲けないといけません。
制作費の回収とかもありますし。


TVアニメとOVAでは金の流れが若干違ってきます。
TVアニメの場合は、ご存じのとおりスポンサーにお金を出してもらうことになります。
CMを流せばスポンサー企業の商品の知名度が上がり、売上が伸びるというしくみ。
アニメのスポンサーの場合は、以前はおもちゃやキャラクターグッズがメインでしたが、最近はOPとかEDのレコード会社とかDVDの販売元がスポンサーについていること多いです。
キッズ向けのアニメはいまだにおもちゃやキャラクターグッズものが多いですが、深夜アニメとかは完全に後者です。


最近ではDVDの売上も見越して制作費を捻出しているという噂もちらほら。
DVDまで資金回収を延ばしてしまうとキャッシュフローが悪化するのであまり得策ではないはずなんですけど。


話が逸れた。
TVアニメでDVDを売るというのはどうにも矛盾しています。
普通に考えればTVで無料でみることができればわざわざDVDを買ってまで見たいとは思わないはず。
よほど作品に思い入れのある人でなければ買わないでしょう。
といいつつ、意外にこのパターンが多いのですが。


では誰が買うのかといえば、番組を見られなかった人ということになるのではないかと。
つまり放送していなかった地域の人。


さて、ここにとても参考になるデータがあります。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/whatsnew/digital-broad/schedule02.html
地デジの放送に先駆け、総務省が調べてくれた放送局と視聴可能世帯数。


典型的なテレビ東京(1400万世帯)アニメの場合、ネット局として大阪(570万世帯)、名古屋(300万世帯)で、約2200万世帯をカバーすることになります。
対して典型的なU局の場合。
TVK(400万世帯)、千葉テレビ(300万世帯)、テレビ埼玉(300万世帯)、サンテレビ(160万世帯)で合計約1200万世帯。
テレビ東京系の約半分です。


DVDを売る側にとっては、売上のばすには視聴世帯が少ない方がうれしいはず。
かといって、知名度が低ければ話題性もないので売れなくなってしまいます。
WOWOWの有料放送とかだと、現在の加入者数は240万世帯。
これだと少なすぎです。
しかもWOWOWの視聴者層は洋画やスポーツといったジャンルが多く、アニメのために加入している人となるとかなり限られてきます。
WOWOW有料アニメの中にもブレンパワード星界の紋章まりんとメランのように名作も多かったのですが、あまり話題にはなりませんでした。
WOWOWの有料アニメは視聴料から潤沢に資金を捻出しているから良作ができる環境にあったということなのでしょうけど。
NHKアニメもそのはずなんですけど。


その点スカパーの場合は、アニメが見たくてアニメ専門チャンネルに加入しているので、顧客のスクリーニングができています。
加入者が少なくても優良な顧客がそろっているというわけです。


そんなわけで、ほどほどに視聴世帯をカバーしていて、宣伝効果も期待できるU局というのもアニメというビジネスモデルには打ってつけなのかもしれない。
TVアニメと言いつつ、半分以上OVAみたいなものですね。


U局って普段は見ないので、うっかりすると見忘れてしまうというのも重要な点。
見忘れた分をDVDで見ることになりますから。
マニアの人は、何がなんでもチェックするだろうし、そこからうまい具合に宣伝してくれるし。


そうなると、やっぱりいかにしてTVの本放送を見逃させるかというのが鍵なのかもしれない。
深夜アニメが増えて、野球シーズンに入り今後放送時間変更なんかしょっちゅうだろうし、加えて新作アニメが60本となれば、ますます見逃す機会が増えそう。
木曜の激戦区も、競合させて録画封じをしてDVDを買わせるという戦略なのかもしれない。
・・考えすぎですか。そうですか。