スクライド 全話

先週からコツコツ消化して、さきほど全部見終わりました。

パッケージ スクライド 5.1ch DVD-BOX (期間限定生産)
タイトル スクライド
放送時期 2001年7月〜12月
原案 矢立肇サンライズ
監督 谷口悟朗
脚本 黒田洋介
キャラクターデザイン 平井久司
ビジュアルコンセプター 神宮司訓之
デザインワークス 森木靖泰、荒牧伸志、まさひろ山根
美術 鈴木朗
色彩設計 岩沢れい子
音響監督 浦上靖夫
音楽 中川幸太郎
キャスト 保志総一朗緑川光田村ゆかり永島由子倉田雅世津久井教生 ほか
アニメーション制作 サンライズ
製作 テレビ東京読売広告社サンライズ

いろんな意味でさまざまなところに大きな影響力を与えた作品でした。
谷口作品に欠かせない音楽の中川幸太郎さんは、これが一緒に仕事をした最初の作品です。
宮司さんやまさひろ山根さんもここから。このDNAは現在はAIC ASTAに引き継がれています。
黒田洋介さんはリヴァイアスに続いての脚本です。リヴァイアスから2年経過して、スクライドは2001年の下半期に放送された作品でしたが、2クール目に入ってからココロ図書館とかけ持ちで脚本を担当してますし、スクライドが終わってすぐにおねがい☆ティーチャーの脚本を書いてます。
このときの黒田さんが最もぶっ飛んでました。書く量もぶっ飛んでましたが、ダイアログがぶっ飛んでますね。
スクライドのダイアログから一部ご紹介すると。

  • 第4話「ビッグマグナム」より

君島:おまえ、あやせさんを見捨てるつもりだったのか!(中略)俺が撃たなきゃどうするつもりだったんだよ!
カズマ:でも、おまえ撃っただろ。

  • 第13話「ロストグラウンド」より

カズマ:泣くなよ、かなみ・・そんなことしてもなんの意味もねぇ。
かなみ:カズくんは悲しくないの?
カズマ:慣れちまった・・痛ぇのも、裏切りも、別れも・・
かなみ:嘘・・カズくんは悲しい。すごく悲しいよ。・・私泣くから。カズくんの分まで泣くから。

  • 第16話「来夏月爽」より

運慶:優しさに包まれて人は弱くなるものである。ぬくもりに包まれて人は癒されるものである。一方的に与えられる幸せは人間を堕落させ、骨抜きにしてしまう。(中略)私の偉大なる脚本の中で、ときめいて死ね!

  • 第23話「シェリス・アジャーニ」より

カズマ:何を我慢している。おまえは今、泣いていい!

熱い!
スクライドは「泣く」というところをテーマに見てみるとおもしろいです。
13話のダイアログでカズマは悲しいのに慣れてしまったと言ってますが、君島や寺田あやせが死んだ時に人知れず泣いている描写がきっちり入ってます。
そして、23話でシェリスが自己を犠牲に劉鳳を助けたときのセリフが効いてくるわけです。


このような恥ずかしいダイアログを次々に繰り出せるところが黒田さんのすごいところ。スクライドは主に男の戦いをテーマにした熱い言い回しが見どころでしたが、この当時の黒田さんはおねティの小石の長セリフなど、ラブコメ路線でもかなりぶっ飛んだダイアログを繰り出してます。

小石:こんな気持ちになったの初めてなの。どうしていいかわからないの。見てるだけは嫌なの。クラスメイトでも嫌、一緒に歩いているだけじゃダメなの。毎日ドキドキしてる。でも、もっとドキドキしたい。

このあとフラれた小石を慰める山田先生のセリフ。

小石:あたし・・フラれちゃった・・・まいっちゃったなぁ。
山田先生:人力飛行機は、必ず飛ぶとは限らない。
小石:え?
山田先生:それは、飛べれば最高に楽しいさ。でも、作ってる最中だって楽しい。結果じゃなくて、過程も重要なんだ。・・と、俺は思う。・・どうだ、縁川・・楽しかったか?
小石:・・うん。いっぱいドキドキした。

今日の昼にたまたまAT-Xでこの回をやっていたんですけどね。


最近の脚本家は照れがあるのかなかなかここまでぶっ飛んだスクリプトを書ける人がいません。男の友情にしてもラブコメにしてもオチをつけてはギャグにしてしまいます。シリアスな展開に脚本家の精神力がもたないんだろうか。それとも脚本家以外のスタッフが耐えられなくなって方針を変えてしまうのだろうか。
騒動で見るのやめてしまったけど、ひょっとしたらグレンラガンは違ったのかもしれません。
エロゲのライターにいい人材が埋もれていると常々思っているのですが、エロゲのスクリプトは特にエロシーンとかは書いている方にとっては恥ずかしいに違いありません。その恥ずかしさを乗り越えて繰り出すダイアログは、自我の殻を破った人間の本質的な魂の叫びとなって現れて人々の心に響いてエロ以外のシーンであっても人々に共感が得られやすいのではないかと分析します。


MilkyWayというエロゲがあるのですが、これがOVAでアニメ化したときに、黒田さんが前編で倉田さんが後編の脚本を担当してます。
黒田さんは見ていて恥ずかしくなるようなエロ展開だけど、倉田さんはギャグなエロ展開になってたと思います。
見比べてみるとおもしろいと思います。
ちなみに、MilkyWayのアニメ版は大河原晴男さんが監督、キャラデザをやってて、1話のコンテは舛成孝二さんです。あと、キャストが(以下自粛)
ファンならずとも抑えておきたい作品です。
amazonで入手可能ですよ。

Milkyway コンプリート版 [DVD]

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18禁だけど。


あと、あまり評価されていませんが、黒田さんの熱い人間ドラマを見たいなら、ガングレイヴもオススメです。

GUNGRAVE(1) [DVD]

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序盤は退屈かもしれませんが、あとになるとドラマが急展開を迎えて複雑な人間ドラマが展開します。
序盤であきらめてしまった人が多いみたいだけど、我慢して最後まで見てもらいたい作品です。
都留稔幸さんが唯一監督と手がけた作品というのも見どころです。