アニメーション制作の手引き(京アニ編著)

昨日の続きです。


作画編ということで、この本は作画スタッフ向けの教本という位置づけのようです。
一般的なステップを経るように、この本も動画から入って原画に移るという構成になっています。
(目次 → http://www.kyotoanimation.co.jp/data/shop_images/book/sakuga/mokuji.html


これを読んだ感想ですが、私が絵コンテや演出だと思っていた分野がかなり原画スタッフの分野であったということを思い知らされました。
演技や芝居といったところ。
くわえて、この本ではあとの方でカメラワークについても説明されています。
他の制作現場がどうなのかわかりませんが、確かにこれだけのノウハウを原画・動画スタッフが持ち合わせていればああいうフィルムになるのかなというのもうなずけます。


京アニスタッフさんの傾向として、常々感じていたことに、絵コンテ・演出、作画監督、原画の垣根が低いというのがありました。
荒谷朋恵さんとか北之原孝将さんとか坂本一也さんみたいに演出もやるし作画監督もやるし原画も描くというスタッフさんが他スタジオの制作作品に比べると多いような気がします。
それも、演技(演出)やカメラワークを意識した原画を描いていると言われれば妙に説得力があるのかなと。


もうひとつ気づいたのは動画チェック(動画検査=動検)の重要性。
フルアニメーションを多用する京アニなので、動画も非常に重要なファクター。
粘り気のあるなめらかな動きとテンポのよいキレのある動きは良い動画によって得られるのかと。
けっこう海外動画を使っているにもかかわらず、動画のクオリティも高いところを維持しているのは動検スタッフのたまものなのではないかと。
今後は動検スタッフについても注目です。


それで、この本の内容ですが、他の教本読んだことないので比較できないけど、当たり前のことが丁寧に書かれているなと思いました。
特に5章のあたり。(目次参照)
物理法則や絵画技法、基本の動作といったあたり。
このあたりのことを手抜きしないでちゃんとやってるから京アニのクオリティが高いと言われる所以なのではないかと。


ちなみに、この本の編者ですが、石原さん、武本さん、北之原さん、池田(晶)さん米田さんなどなど見覚えのあるメンバーでした。
山本さんは入っていないみたいです。


奥付の発行日が2005年5月16日になっています。
ちょうど1年前です。