ITmediaのGDHのインタビュー記事

仕事中におもしろそうな記事を見つけたので、家に帰ってから読んでみました。
DVDが売れない時代のアニメビジネス GDHに聞く


GDH(GONZO)に限らずアニメのDVDの売れ行きが芳しくないのだそうです。
動画共有サービスの存在などが原因のひとつと考えられているようですが、最近の著作権利権団体みたいな無茶なことは言わずに、現状を把握した上で共存しながらうまいビジネスモデルを探っていこうという姿勢に感心しました。
時代の流れに沿ってビジネスも変化するわけで、流れに乗れない事業者は淘汰されていくことになります。
自動車が普及すれば、馬車や人力車は利用されなくなるし、電話が普及すれば緊急の用事に電報を使うこともなくなります。
古いモデルにしがみつくのは、ユーザーに不便を強いるだけなのですよ。

「当社のDVDが売れない最大の理由は作品の力不足だが・・(以下略)」

確かに最近のGONZOは作品に勢いがありません。
ソルティレイパンプキン・シザーズは個人的にはおもしろい部類の作品でしたが、カレイドスタークロノクルセイドキディ・グレイドほどおもしろかった印象はないです。GONZOはあのころがいちばんおもしろかったです。マザーズに上場する前までのGONZOが。
作画クオリティは落ちていないと思うので、シリーズ構成や脚本に元気がないように思えます。


秋からはじまるドラゴノーツも音響監督の鶴岡陽太さんのおかげで話題性には事欠かないキャスティングになっているみたいですが、キャスティングに負けないくらいストーリーのほうでも盛り上げていただきたいところです。

HDD&DVDレコーダーの普及は、特に国内のアニメDVD販売に打撃を与えていると見る。地上波で放映された作品を家庭でDVDに録画・アーカイブできるようになり、放映終了後に改めてDVDを買おうというユーザーが減ったとみられるためだ。

HDDの方が便利だからしかたがないですよ。HDDはDVDみたいにディスクを交換する必要がないわけですから。
うちでもkanonアーカイブをチェックするときはDVDを全巻持っててもHDDレコーダーでチェックしてます。わざわざDVDをセットして、スポンサーや配給元のロゴを強制的に見せられてようやく見たい映像にたどり着くというのは手間がかかりすぎです。
特にkanonの場合はHDDの中にはHD品質のアーカイブがあるわけで、放映終了後にわざわざそれよりも画質が劣るDVDを買うのは、制作に携わった方への感謝の気持ちと、1クールに数十本もアニメを提供してくれるアニメ業界への税金みたいな感覚です。それとちょっぴりの特典への期待と自己の蒐集欲を満足させるため。
アニメがないと生きていけない人種にとって、テレビを付けるとアニメが見られるという環境は電気・ガス・水道のようなライフラインのひとつなのです。
それもほどほどに収入があるからこそ可能なわけで、サブプライム的な経済状態であればそれもままならないわけです。
制作スタッフへの心付けよりも生活の方が大事ですから。


DVDが売れない理由として「HDD&DVDレコーダーの普及」を挙げているようですが、もっと根本的なところとして、

  • 作品が地上波で放送されること
  • 地デジの開始による画質・音質の向上
  • 地デジと同等かそれ以上の品質を提供できる商用媒体の規格が定まらない

といったところは挙げないのですね。
地デジで放送することはHDDレコーダーに録画されることは考慮するべきであって、それが損失だというのであれば別の方法でコンテンツを提供すればいいでしょう。
コンテンツホルダーにしても、地上波での放送は商品を宣伝できるというメリットがあるわけで、関連商品を売っているスポンサーにとってもおいしいはず。


そして、ユーザーにとってはDVDはやっぱり不便なのです。
ユーザーはポリカーボネート製の円盤が欲しいわけではなく、中に入ったアニメが見たいのです。
アニメを見るための方法として、あのポリカーボネート製の円盤はどうにも時代遅れな感じがします。32GBのSDカードだって出ているというのに。
追い討ちをかけるようにあのDVDのパッケージサイズですよ。アマレイトールケースやスーパージュエルケースが一般的ですが、大きさはCDと同じ12cmなので、CDと同じケースで十分なはずです。この際、布製のエンベロープに紙パッケージでもいいですよ。
LPレコードやレーザーディスクのパッケージはシンプルでした。
DVDのパッケージは意外とかさばるんです。
蒐集欲を満たすにはこれくらいの嵩があった方がいいのかもしれないけど、狭い日本の住宅事情もちょっとでいいから気にかけてもらいたいところです。


最後に。

「過去を100年の歴史を見ても、映像メディアが映画からテレビに変化し、ビデオカセットの発明がハリウッドのビジネスモデルを変えるなど、環境は常に変化してきた。作り手としてはその環境に早く体を慣らして視聴者に満足してもらえる作品を作り、新たなビジネスを模索していくしかない」

GDHがこういうユーザ指向の考えを持っているということで安心しました。
新しい時代のコンテンツビジネスのスタンダードをアニメ業界が開拓していってくれるとうれしいですね。


あとはGONZOはおもしろいアニメを是非。