今、そこにいる僕

1999年作品。
本放送時は、あまりにも暗い内容だったため、2話くらい見てスルーしてしまいました。一生の不覚です。
倉田ファンとして、ずいぶん前から見たいと思っていたのですよ。
ここのところ忙しかったせいで金が余っているもんだからBOXを買ってしまいました。

大地丙太郎監督で、倉田英之さんの脚本(シリーズ構成)。
二人とも自分が手がける作品にはよく特徴の出るタイプの人たちなのですが、この作品はちっともらしくない作品です。
特に大地監督の特徴が非常に少ない。私にはキャスティングくらいしか特徴はつかめませんでしたよ。
倉田さんは次回予告のハムドの狂った言い回しのところに特徴が出てます。
バンブーにもあった倉田さんの次回予告のおもしろさはこのへんからもかいま見えますね。
ストーリーの方は倉田さんよりもむしろ黒田さんに近い。黒田脚本にしばしば見られるシリーズの中盤と終盤あたりに仕掛けられる残酷さが全編にわたって仕掛けられていた感じ。
倉田さんの場合、終盤にかけてストーリーがバタつくことが多いのですが、今僕は比較的、軟着陸したという印象です。
というか、倉田さんは終盤の原稿があがってくるのが遅いので、バタつくんだろうな。最終話の脚本がないままひとつ前の話数のコンテを切ってたりするんでしょうね。
きっと監督にしてみれば、最終話をこんなに詰め込むんだったらラス前の話にもう少し詰め込むこともできたろうにとか思ってたりするんだろうな。(妄言)
今僕は1クールの13話でしたが、内容はしっかりと詰まってました。いい作品だ。


今僕は救いようのない残酷さで当時クローズアップされた記憶があります。
確かに10年前であれば、このシナリオでTV放送というのは衝撃的だったかもしれませんが、10年もすればもっと残酷な作品が出てしまったので、それほど衝撃的な感じは受けませんでした。
陵辱系のエロゲーのがもっとひどいからなぁ。つかそんなのと比べるなよ・・


声優さんでは、大地ファミリーが勢揃い。
ララルゥ役は名塚佳織さんでしたが、この作品がほぼデビュー作品にあたります。
ほとんどセリフなかったけど、確かに名塚さんでした。役どころとしてはエウレカに近いかも。
DVD-BOXに封入されていたライナーノーツに大地監督と倉田さんの放送当時の2000年の対談が載っていたのですが、それによると当時14歳だそうですよ。
名塚さんはこのときからすでに巧かったですよ。


音楽もよかったです。岩崎琢さんの音楽がマッチしてました。
この作品、全編にわたって絶望的に暗い内容でしたが、岩崎さんの音楽を聞いているとちょっとだけ希望がわいてくるような気がするから不思議。
録音はゴールドフィンガーの名倉さんでした。
音響監督がたなかかずや(田中一也)さん。


この作品、再放送の話はあまり聞かないのですが、やっぱり放送コードの問題なのかなぁ。
王様が狂っていたり、サラのことも表現しづらいところもあるし。