エデンズボゥイ 全話

今週もコードギアスおもしろかったなぁ。
勘のいい人は既にご存知でしょうが、コードギアスがこれだけおもしろいのは今回もコンテを担当していた須永司さんのおかげなのです。
須永さんがいなければ、コードギアスどころか日本のロボアニメの未来はないと言っても過言ではないかもしれません。
・・ちょっと言いすぎた。


そんなわけで、最近は須永司さんがもっぱらの研究テーマなので、須永さんが1999年に監督をやったエデンズボゥイを見てみることにしました。
私も当時毎週見ていたのですが、自宅にアーカイブがなかったのでDVDを探しまくりました。それでようやく先日全巻揃いました。

パッケージ エデンズボゥイ(1) [DVD]
タイトル エデンズボゥイ
原作 天王寺きつね(「月刊少年エース」連載)
監督 須永司
シリーズ構成 十川誠志
キャラクターデザイン 数井浩子
インダストリアルデザイン/レイアウト監修 山形厚史
美術監督 阿久津美千代
色彩設計 もちだたけし
撮影監督 渡邊英俊
音響監督 亀山俊樹
音楽 外山和彦
キャスト 山口勝平椎名へきる菅原正志永島由子水橋かおり ほか
アニメーション制作 スタジオディーン
著作 天王寺きつね/角川書店バンダイビジュアル・丸紅・ソニーPCL創通エージェンシーテレビ東京

最近の須永さんはロボ系作品多いけど、10年くらい前は萌え系作品にもまんべんなく参加していました。
エデンズボゥイはキャラデザの数井さんがいいですね。萌えです。
中嶋敦子さん風のキャラを描く人です。ディーン作品で同じ作品に参加することが多かったので、お互いに影響を受けていると思われます。
数井さんは最近ではふたご姫のキャラデザもやっていました。
あと、コメンタリーによるとR.O.D(OVA版)の1話のこのへんのカットを担当していました。
*1
エデンズの5話の作監も担当していましたが、この回はフェニスの萌えどころがてんこ盛りです。

EDも数井さんの担当です。
エデンズボゥイのEDは特に人気高かったです。


この作品は水橋かおりさんのデビュー間もない作品で、役つきはこれがはじめてだったかと思います。
この頃からすでに水橋さんの演技はかなりの完成度でした。でも、この当時は普通に大谷育江さんと間違えてましたけど。
コニャコ役の声優さんはちょっとアレな感じでした。栗山千明さんということで、どうやら現在は女優さんのようです。今となってはコニャコ役は黒歴史なんだろうな。二次オタにとっては三次の女優さんなんてどうでもいいことですが。


須永さんの話でした。
とりあえず、ちょっとだけ調べて見つからなかったスタッフ表を作ってみました。(転載自由)

話数 サブタイ 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
1 地上におりた天使 十川誠志 須永司 佐藤照雄 数井浩子
2 コーカッサの白い花 十川誠志 須永司 鈴木芳成 津幡佳明
3 人形使い 十川誠志 吉永尚之 吉田俊司 波風立流
4 白い悪魔 田中哲 寺東克巳 菱川直樹 門智昭
5 ユルガハの夜と霧 十川誠志 須永司 佐藤照雄 数井浩子
6 眼下の敵 十川誠志 別所誠人 鈴木芳成 津幡佳明
7 人形の家 十川誠志 寺東克巳 吉田俊司 波風立流
8 さよならエリシス 十川誠志 須永司 菱川直樹 門智昭
9 ヘアラ散る 十川誠志 吉永尚之 佐藤照雄 数井浩子
10 さらば青春の光 田中哲 須永司 鈴木芳成 外崎春雄
11 ビード 十川誠志 寺東克巳 吉田俊司 津幡佳明
12 扉の向こうで… 十川誠志 吉永尚之 菱川直樹 波風立流
13 天使の決断 十川誠志 須永司 佐藤照雄 門智昭
14 追跡 田中哲 寺東克巳 鈴木芳成 数井浩子
15 花の都チャナッカレ 十川誠志 吉永尚之 吉田俊司 外崎春雄
16 黒い羽のおもいで 十川誠志 須永司 菱川直樹 波風立流
17 パレラ 十川誠志 菱川直樹 佐藤照雄 津幡佳明
18 甘い痛み 十川誠志 寺東克巳 鈴木芳成 門智昭
19 ユルガハの魔導士 田中哲 須永司 吉田俊司 数井浩子
20 崖っぷち 十川誠志 菱川直樹 菱川直樹 外崎春雄
21 み〜んな仲よく 十川誠志 寺東克巳 清水明 波風立流
22 二匹のサソリ 十川誠志 須永司 佐藤照雄 津幡佳明
23 破滅の足音 十川誠志 寺東克巳 吉田俊司 門智昭
24 亡者たちの街 十川誠志 菱川直樹 菱川直樹 外崎春雄
25 聖地の末 十川誠志 須永司 鈴木芳成 波風立流
26 大地の少年(エデンズボゥイ 十川誠志 佐藤照雄・須永司 佐藤照雄 数井浩子

概ね5話ローテなので、その計算では1チーム約5本の計算ですが、須永さんのコンテは11本。実に約半分のコンテを切っていました。
しかしながら、演出は1本もなし。演出は担当せずにコンテのみを請け負うスタイルはこのときから既にあったようです。
ストーリーを大胆に展開するコンテも健在で、7割くらいの割合で須永さんのコンテは判別できました。
終盤は作品としてうまくまとめきれなかった感があったのが残念です。コンテはややペースは落ちているけど、あいかわらず須永さんのコンテなんだけど、コンテマンではなく監督という立場ではいろいろと苦労されたんじゃないでしょうか。


フェニスとヘアラの学生時代の回想シーンがメインとなっている回が3回くらいあるのですが、これのコンテをすべて須永さんが担当していました。
これは最近の須永さんには見られないタイプのコンテです。水上清資さんが脚本で、下田正美さんがコンテ切ったような感じの回でした。須永さんといえば、斧でぶったたくような大胆なコンテばかりが思い浮かぶのですが、こういう繊細なエピソードのコンテでもやればできるようです。


10年も前の作品なので、一概にはなんとも言えないかもしれませんが。
須永さんはコンテが得意なアニメーターさんですが、監督としてみた場合、エデンズボゥイに限っては巧くまとめきれなかったかなという印象があります。
コンテが得意な人は作品をまとめるのも巧いだろうという先入観があったのですが、意外とそういうわけではないのかもしれません。もっとも、巧くまとめきれなかったことを須永さんだけに押しつけるのも大きな間違いですけど。
というか、須永さんは監督をやるよりもコードギアスみたいにコンテを集中的に切っている方があっているかもしれないということなんですよ。
谷口監督がいて脚本に大河内さんがいて、それで須永さんはコンテに集中できるという環境。演出を担当しないというスタンスからも監督も担当しないというのも納得がいきます。


今度、福田道生さんが監督をやるらしいのですが、同様の心配があるんですよね。
もちろん楽しみなところの方が多いです。

*1:©2002 スタジオオルフェ/SME・ビジュアルワークス