「宇宙ショーへようこそ」を見てきた

宇宙ショーへようこそを見てきました。
言わずとしれた、R.O.Dかみちゅ!に続く、舛成孝二監督、倉田英之さんの脚本、落越友則さんプロデュースというベサメムーチョな3人組の最新作。
案の定、いつものメンバーが集まって、いつもどおりのクオリティの高い仕事をしてくれました。


オープニングアバンの戦闘アクションとか、誰が描いたのかわかりませんが、原画クレジットの豪華なスタッフ陣を見るとむしろ誰が描いてもおかしくないアクションでした。
開始すぐの夏紀の寝起きでラジオ体操をバックに流して展開する会話劇は、録音エンジニアの名倉靖さんの健在っぷりをアピールしてくれます。
月の裏側の建造物はまさに神宮司訓之ワールド。そして至るところにokama宇宙人。
そして、キャラが動く動く。橘秀樹さんと細田直人さんこそいませんでしたが、いつものパフォーマンスの高い作画スタッフがよってたかってキャラを動かしまくりです。
中でも薮野浩二さんの存在感が強かったです。石浜真史さんがキャラデザ・作監ですが、薮野さんの印象が強く残りました。
原画クレジットでは筆頭になっているので、相当数の原画を描いたのではないかと。
そして、背景美術は小倉一男さんに草薙がしっかりサポート。
スタッフに恵まれて、よいフィルムに仕上がってました。


さて、ストーリー。
今回、宇宙ショーに見てて、正直なところ舛成、倉田作品らしくないなと思いました。おそらくその理由は、ダメ人間がいないからなんだと思います。
R.O.Dでの読子さんや、三姉妹、かみちゅ!のゆりえさまなど、ダメ人間だけどやるときにはやる主人公というのが舛成・倉田作品のカギだと思うのですが、今回はそういうキャラがいません。


そんな中でも、舛成・倉田作品らしさを感じたのは、夏紀と周の二人が仲直りしていくところと、康二とインクの第三種接近遭遇だと思うのですよ。
特に康二とインクのところがお気に入り。パンフレットによると監督もお気に入りのようです。
ああいうシーンを重点的に見せる作品でもよかったような気がします。
康二だけじゃなく、清と倫子にもそれぞれそういうエピソードを用意してあげればいいのに。


設定も深く練り込まれているし、さまざまな伏線が張られていてきっちり回収されているのですが、ちょっと話を広げすぎちゃった感じ、でも宇宙レベルなのに意外に掘り下げっぷりは浅く、全宇宙レベルで展開していたストーリーの割には、ずいぶんこぢんまりとまとまってしまったかなと。
135分という限られた時間だったのでやむを得ないところなんでしょうか。


それと本作品は、アクションが多かったです。でも、終盤のアクションは本当に必要ですかね。
落越Pが今回の作品にSFというテーマを与えたそうですけど、SFはあってもいいと思いますが、アクションは無くてもよかったんじゃないかと。
子供たちが活躍するアニメだからなおさら。特に夏紀にアクションをやらせたのは失敗だと思います。
月で入管審査を受けるときの反戦を訴えるような質問と矛盾を感じます。


今回集まった作画スタッフにアクションをやらせないというのは、非常にもったいない話なんだろうけど、無理にアクションをやらなくても、監督がやりたいようにやればよかったんじゃないですかね。
パンフの監督のコメントからは、アクションについては言葉を濁しているようにも見えます。
やりたいことをもすこし焦点を絞ってよかったかなと言うのが感想です。


そんなわけで、まとめると。
全体的にクオリティも高く、ベサメムーチョ作品ファンとしては楽しめたけど、手放しで評価するにはストーリー面でちと物足りなかったかなと。


いろいろ消化不良なところもありますが、映画館にもう一回見に行くことはないと思います。次はDVDかブルーレイでコメンタリーを聞くことになるかと。
その上でもっかい評価したいです。